点数による評価(総合評点)

総合評点は「決算書内容・工事内容・技術者の有無」など様々な事を考慮し、複雑な計算方法によって算出されます。また、公共工事の発注者へ申請する入札参加資格申請の時点で、さらに加点される場合があります。
当事務所では総合評点から入札参加資格申請での点数をシュミレーションし、よりお客様の希望へとつながるように対応・対策致します。

評点される理由

国・県・市町村といった公共工事の発注機関は、税金を使用するため工事に失敗は許されません。したがって工事の規模及びそれに必要な技術水準に対応できる建設会社に工事を発注する必要があるのですが、その判断の際に使われるのがこの評点となります。
発注機関内では、この評点をもとに建設業者の業種ごとランク分けし、入札できる建設業者を限定します。

例えば令和1・2・3年度における長野県のランク分けは

「土木一式工事」
Aランク・・・953点以上
Bランク・・・812点~952点
Cランク・・・741点~811点
Dランク・・・657点~740点
Eランク・・・656点以下
「建築一式工事」
Aランク・・・915点以上
Bランク・・・798点~914点
Cランク・・・737点~797点
Dランク・・・665点~736点
Eランク・・・664点以下

となっています。
ここで◎◎建設の木一式工事の評点が800点、建築一式工事の評点が900点であった場合、「土木一式工事・・・Cランク」「建築一式工事・・・Bランク」となります。

長野県が土木一式工事をCランク以上で発注すれば入札に参加できますが、より規模の大きい工事をBランク以上に発注した場合、◎◎建設会社は入札に参加することができません。
一方、長野県が建築一式工事をBランク以上で発注した場合、◎◎建設会社は入札に参加することができます。

評点方法

総合評点はP点と定められており、「X1・X2・Z・Y・W」 という5つの項目から成り立っています。
この「X1・X2・Z・Y・W」はそれぞれ点数化されており、最終的に合計して100%となるよう計算され、P点となります。

P点=X1×0.25+X2×0.15+Y×0.2+Z×0.25+W×0.15

「X1・X2・Z・Y・W」ですが、それぞれ複雑な計算方法にもとづいて行われるため、ここではそれぞれの項目が何を点数化するかみていきます。

「X1」

⇒建設業種別の年間平均完成工事高に関係する評点です。2年~3年の平均工事高によって点数が決まります。官庁・民間問わず元請工事高の点数も影響してきます。

「X2」

⇒自己資本額及び平均利益額に関係する評点です。純資産額、営業利益、減価償却費などによって点数が決まります。

「Y」

⇒経営状況に関する評点です。Y点は経営事項審査の時ではなく、事前に民間の経営状況を分析する機関に申請する経営状況分析申請で点数化します。

「Z」

⇒建設業種別の技術職員の数及び、建設業種別の年間平均元請完成工事高に関する評点です。元請完成工事高ですが、官庁民間関係ありません。

「W」

⇒その他の審査項目(社会性等)に関係する評点です。社会保険加入の有無や退職金制度の有無など、X1・X2・Y・Z以外の点数化がすべて入ります。

これらの項目が総合的に判断され、P点に反映されるというわけです

評点対策

発注された工事に入札したいとき、そのランクになっている必要がありますが、AランクやBランクといった上位ランクを維持するにはしっかりとした評点対策が必要です。
虚偽申請は絶対にダメですが、対策をするのとしないのとで大きく点数が異なる場合も多いです。以下、順にみていきます。

「決算内容」

決算内容がかかわってくる項目は「X1」「X2」「Y」となります。
売上高=完成工事高となるので多いにこしたことはありませんが、近年の傾向としてしっかりと利益を残したほうが最終的に点数がよくなります。
工事1件1件につき原価と利益をしっかりと把握し、それを積み重ねる事で、点数だけでなく事業の継続・発展にもつながります。

「技術者」

技術者の有無は点数に大きく影響します。会社規模のわりに点数が高いところは、国家資格保有者の数が豊富であることが多いです。最近は実務でも技術者の確保が重要視されてきています。施工管理技士制度も変わりつつあるので、経審対策をかねて技術者を増やす事を強くおすすめします。

「その他社会性」

単純に点数を高くしたいとき、取り掛かりやすい部分です。
・建設業退職金共済制度(建退共)、中小企業退職金共済制度(中退共)、特定退職金共済制度(特退共)といった退職金制度への加入
・経営事項審査加点対象となる、民間の労災保険への加入
・防災協定を締結している団体への加入
といった事が考えられます。

以上、経営事項審査における評点対策ですが、入札参加資格申請を提出するときに別途点数が加算されることがあります(長野県の新客観点数など)

その点数対策次第では、経営事項審査対策より大きな効果がでることがありますので、少しでも評点を伸ばしたい方、当事務所へご相談下さい。

審査義務(受注までの流れ)

経営事項審査の申請を行い、その結果通知書を受けていなければ、公共工事(国・県・市町村などからの工事)を受注(発注者と契約を締結すること)することができません。

審査の有効期間

公共工事の受注には、契約締結日の1年7ヶ月前以降の決算日を基準日とする経営事項審査を受け、その結果通知書の交付を受けていることが必要です。つまり、

・経営事項審査の有効期間は決算日から1年7ヶ月有効
・経営事項審査を受けたあと、結果通知書の交付まで約1ヵ月間⇒常に受注する機会を得るためには、毎年決算日から6か月以内に、経営事項審査を受ける事が義務となります

したがって、決算日から6か月を越えて経営事項審査を受けてしまった場合、結果通知書が決算日から7ヶ月を越えて発行されてしまいます。その越えてしまった期間は経営事項審査の空白期間となってしまうことから、公共工事が受注出来なくなってしまいます!

公共工事受注までの流れ

経営事項審査を受審し、結果通知書をもらったからといって、すぐに公共工事を受注できるわけではありません。公共工事を受注したい各自治体へ、結果通知書を添付して「入札参加資格申請書」を提出し、各自治体が所有する入札参加資格者名簿に記載される必要があります。

以下、決算書完成後~入札参加可能までの順番となります
※建設業許可を取得していることが前提です。
「決算書の完成」(税理士)

①「経営状況分析の申請」

税理士が作成した決算書を、行政書士が建設業会計規則に沿った決算書へ作成しなおします。その決算書をもとに会社の経営状態を評価し、点数化する申請です。民間の経営状況を分析する機関へ提出します。

②「経営状況分析結果通知書の受取」

経営状況を分析する機関からの結果通知書を受け取ります。この経営状況分析結果通知書を経営事項審査に添付します。

③「決算変更届の提出」

行政書士が作成した決算書、及び、決算期内に完成した工事内容(工事経歴書)を
・知事許可⇒都道府県の各地方事務所
・大臣許可⇒各地方整備局
へ提出します。この決算書と工事経歴書も、経営事項審査の対象となります。

④「経営事項審査の受審」

経営事項審査に必要な書類を作成後、
・知事許可⇒都道府県の各地方事務所へ直接持参
・大臣許可⇒各地方整備局へ郵送
します。経営内容や工事内容などすべての項目を審査し工事業種ごとに点数化されます。
すべて書類が受理されると受付印が押され、その日が経営事項審査申請日となります。したがって書類に不備があると審査日が遅くなり、経営事項審査の有効期間を過ぎてしまうおそれがあるのでお気を付けください。

⑤「総合評定値通知書の受取」

総合評定値通知書が行政書士ではなく、会社の本店所在地へ直接郵送されます。大切に保存してください。

⑥「入札参加資格申請の申請」

総合評定値通知書を添付し、工事を受注したい各自治体・公共団体へ申請します。申請の際、一定の条件を満たすことで点数が加算されることがあります。

⑦「入札参加資格認定通知書の受取」

各自治体・公共団体内での点数と、点数に応じたランクが書かれています。この認定通知書が届くことで、入札参加資格者名簿に登録されたことが確定します。通常、有効期間は2年間です。

入札参加資格申請の注意点

経営事項審査の有効期間や提出する時期などすべて一律に定められていますが、入札参加資格申請については、各発注機関に任せられています。簡単にまとめると

・受付時期⇒随時受付、半年に1回、1年に1回
・有効期間⇒1年間~2年間
・提出方法⇒持参、郵送、インターネット
・付加点数内容⇒発注機関ごとに異なる

などがあげられます。
複数の発注機関から仕事を受注している場合、受付時期を過ぎてしまったり、有効期間を勘違いすると工事が受注出来なくできなくなってしまいますので、ご注意下さい。

毎事業年度の変更届出書は自分で提出するので、経営事項審査だけ依頼できますか?

申し訳ございません。毎事業年度の変更届出書に記載されている工事経歴書や決算書をもとに審査されますので、当事務所では経営事項審査の書類と同時に工事経歴書や決算書準備・作成しております。したがって、原則「変更届出書+経営事項審査」のセットでの契約となりますのでよろしくお願いいたします。

経営事項審査は毎年受ける必要があるのですか?

はい。決算終了後、決算日から6か月以内に審査を受ける必要があります。基準となる決算日から1年7ヶ月間有効期間がありますので、次年度の決算日から7ヶ月間は有効期間内となります。したがって、次年度の決算日から6か月以内に審査を受けないと、欠格期間が出てしまい、その期間内に公共工事を受注することができません。